こんにちは、歯科医師の小竹です。
冬になって、肌寒くなり
朝、歯を磨くときのお水が
大分冷たくなりましたね。
『この間の歯科検診では
むし歯はないと言われたけど、
なんだか冷たいお水がしみる。』
という方、
もしかしたら、
それは知覚過敏かもしれません。
ということで今回は
知覚過敏についてお話したいと思います。
 
知覚過敏とは、
冷たいものを食べたり飲んだりした時に
しみたり、痛みが出たりします。
また、甘味や酸味も刺激になり
痛みが出ることもあります。
他には、歯ブラシなどがあたることで
ツーンとする痛みとして感じることがあります。
 
知覚過敏になると、
なぜ痛みを感じるのでしょうか?
歯は通常、健康な状態であれば
歯茎に覆われていて、
痛みやしみたりすることはありません。
 
しかし、歯周病が進行したり
不適切なブラッシング
くいしばりなどが原因で
歯茎が下がったり
歯が削れてしまったりすると
「象牙質」と呼ばれる組織が
露出してしまいます。
《歯肉が下がってしまって
象牙質が出てしまっている図》
 
知覚過敏で痛みを感じるのはこの部分です。
象牙質には歯髄、
すなわち神経につながる
象牙細管と呼ばれる
無数の穴が開いています。
 
この中には
神経から細胞が突起を伸ばしており、
そこが刺激されることでしみたり、
痛みを感じてしまうと言われています。
《象牙細管の電子顕微鏡像》
 
知覚過敏を発症すると、
次のような悪循環を
繰り返してしまうことがあります。
1. 知覚過敏を発症
2. 歯がしみるため
    歯磨きが十分にできなくなる
3. 歯垢が蓄積する
4. 蓄積したプラークに潜む細菌が
    出す酸によって、
    露出した象牙細管がさらに広がって
    刺激を感じやすくなり、
    痛みがますます強くなる
5. 2~4の繰り返しで、
    さらに歯垢が蓄積し、
    むし歯や歯周病の発症や
    悪化を招くことに
    繋がってしまうことがある
対策として、
歯科医院での薬物塗布や
薬局などで市販で売られている
知覚過敏用の歯磨き粉の利用があります
特に「硝酸カリウム」や
「乳酸アルミニウム」などの
薬用成分が入った歯磨き粉が
知覚過敏の症状に効果的です。
 
硝酸カリウム
露出した象牙質の
表面にある象牙細管を
通して刺激が
神経へ伝達されるのを
ブロックします
 
乳酸アルミニウム
刺激が伝達される通り道となる
象牙細管の入り口を封鎖することで
知覚過敏による痛みを防ぎます。
 
削れてる範囲によって
お薬で改善することが
困難な場合には
樹脂の材料を詰めて
治す場合もあります
 
知覚過敏の原因である
露出した歯の根元は
虫歯になりやすいです
知覚過敏の症状が見られたら
早めに歯科医院を受診しましょう