こんにちは、歯科医師の小竹です。
今日はフッ素についてのお話です。
正式にはフッ化物として使います。
自然界にも沢山存在しており、
エビの殻や、緑茶や果物などにも
含まれていると言われています。
フッ化物というと
むし歯予防のイメージが
あると思いますが
様々な作用の結果、
むし歯予防を行います。
 
1フッ化物の働き
(1)再石灰化促進と脱灰抑制
お口の中に
低濃度のフッ化物があることで
再石灰化が促進され、
歯の失われたミネラルを回復させます。
 
(2)歯質の強化
エナメル質の構造を変化させることで
むし歯になりにくい歯にします。
(ハイドロキシアパタイトから
フルオロキシアパタイトへ)
 
(3)原因菌による酸産生の抑制
むし歯菌自体に働きかけて
むし歯の原因となる酸の発生を抑制します。
上記のようなことを行うことで
むし歯にならないように予防します。
むし歯の抑制率としては、
フッ素を使用することで
2.3年で20〜30%が予防され
長期の使用で60%が予防されるという
データも存在します。
 
 
2フッ化物の種類
フッ化物には様々な種類があります。
ご自宅で行うものと病院で行うものでは
フッ化物の濃度の違いがあります。
両者を一緒に行うことで
更にむし歯になりにくくします。
 
病院で使用されるフッ化物は、
高濃度のものを使用します。
高濃度のフッ化物を
歯に塗ることで
歯にあるミネラル成分と反応して
フッ化カルシウムを生成します。
フッ化カルシウムは,
う蝕原因菌の産生した酸や
食事の影響により
口腔内が酸性になると
少しずつ溶解しフッ化物として作用します。
高濃度のものは3〜4ヶ月に
一度塗布していくようにします。
 
自宅で使用するものは
病院で使用するものに比べて
低濃度のフッ化物です。
フッ化物がそのまま
口腔内の粘膜や歯垢などに吸着して
エナメル質に直接作用します。
 
 自宅で行うフッ化物の種類としては
⑴フッ化物配合の歯磨き粉
歯磨き粉は1000ppmから1500ppmに
薬事法が変化し、
より高いむし歯予防が可能になりました。
ただし、1500ppmのものは
6歳以降から使用できるものなので
注意が必要です。
歯磨き粉の量は年齢によって
違うのでよければ参考にしてください。
⑵フッ化物配合のジェル
⑶フッ化物洗口液
歯科医院で塗布を受けて
毎日の歯磨きにフッ化物を使用しても
フッ化物過剰摂取の心配はありません。
両方を併用すれば、
う蝕予防に相乗的効果が期待できます。
 
 
3注意点
(1)フッ素を塗布した後、
作用するのにお時間がかかります。
ですから、うがいも含めて30分間は
ご飲食なさらないようにしてください。
(2)フッ素を塗ったからといって
歯磨きや仕上げ磨きを怠ってしまうと
あくまで予防なので
むし歯になってしまいます。
(3)なるべくフッ素を
全体に行き渡らせるように
小刻みに歯ブラシを動かして
フッ素を送り込むイメージで
歯磨きしてください。(LFD法)
インターネットでよく
フッ素の害について書かれているものが
見受けられます。
たしかにフッ素単体では害になります。
しかし、歯科医院で使用するものは
あくまでフッ化物であり、
フッ素単体で使用することはありません。
ちょっとした構造の違いで
機能は大きく変わります。