こんにちは、歯科医師の小竹です。
皆さまに質問です!
人類でもっとも多い感染症は何かご存知でしょうか。
タイトルの通り、察しられてると
思いますが『歯周病』が
もっとも多い感染症です。
2001年にギネス世界記録に
認定されています。
また、日本で歯を抜く要因で
最も多いのもむし歯ではなく歯周病です。
その割合は、41%と言われます。
では、歯周病とはどんな病気なのでしょうか。
CMなどで歯茎から血が出るとか
口臭とか色々と耳にすると思いますが
きちんと病態について聞く機会は少ないと思います。
歯周病とは、
歯の周りの歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質)に
炎症が起こっている病気の総称です。
歯周病を大きく二分すると
「歯肉炎」と「歯周炎」になります。
【正常な歯周組織の図】
炎症が歯肉だけで留まっている状態を
「歯肉炎」と言います。
この状態の時の症状としては
歯磨きの時に歯茎から血が出ることや、
歯茎が赤く丸みを帯びて見えます。
また、場合によっては
冷たい水がしみてしまうこともあります。
【歯肉炎の図】
炎症が歯槽骨や歯根膜にまで広がっている状態を
「歯周炎」といいます。
歯周炎は以前、歯槽膿漏と呼ばれていました。
この時の症状としては
上記の症状に加えて歯茎から膿が出たり、
歯と歯の間に物が詰まるようになったり、
骨が溶けて歯茎が下がることで
歯が伸びたように感じてしまうようになります。
他にも様々な症状が出ます。
【歯周炎の図】
歯周病の炎症の直接的な原因は
プラークと呼ばれる細菌の塊です。
プラークは1mg中に
細菌数が10億個いると言われています。
1mgで日本の人口のおよそ8倍の菌が
住みついているということです。
《口腔内のプラークの顕微鏡像》
歯周病はSilent Diseaseと呼ばれ、
自覚症状がほとんどなく、
歯の半分近くの骨が溶かされても
気づくことは少ない場合も多いです。
歯がぐらぐらになって気付いた時には、
歯を抜かなければならない状態になることもあります。
痛みがないなら放っておいてもいい
というわけではないです。
歯周病が仮に5ミリあり
28本全ての歯が残っている場合、
手のひらのサイズと
同じくらいの大きな膿の袋となります。
これだけあれば、歯周病で口臭がしてもおかしくないことがわかりますね。
また、もし毎日これを唾液と
一緒に飲みこんでしまっているなら
全身的に問題が出てもおかしくありません。
そこで大事になるのが、
痛みがなくても歯周病の治療を
きちんと受けることが重要だと思います。